風邪

鼻水が出て止まらなかった。
水のようなのがあとからあとから出る。
咳も熱も喉の痛みもない。
こいつはとうとう花粉症かと思った。
ここ数年春になると目鼻のあたりが痒かったりはしたので。

花粉症と決めて、あと数日に迫っている
漫画のラフ原稿を急いだ。
鼻水が憂っとおしくて集中できない。
それでもなんとか完成させて打ち合わせに行った。
その夜、妻にも同じ鼻水の症状が出た。
妻は熱も少し出た。

翌朝すぐに医者に行った。
診察時間ぴったりに着いたが待合室はもう満員だった。
受付で「インフルエンザかもしれない」と言うと別室に案内された。
そこにも何人か先客がいた。
背の高い青年が背の低いお母さんに支えられてつらそうにしてた。
看護士さんに症状について質問された。
先生がやってきて
先に脱脂綿の着いた棒を妻と私の鼻の奥に入れた。

しばらくして診察室に呼ばれた。
「検査の結果インフルエンザは陰性です。
熱もたいしてないし、まあ風邪でしょう」
その頃には自分でもそんな気がしていたが、
医者の先生の半笑いに傷ついた。
薬局に寄って念のためにと処方された
鼻と喉の薬をもらって帰った。

以前はもっとひどい風邪でも
インフルエンザでも医者には行かなかった。
夫婦2人の診察代、薬代があれば
あれも買えたこれも買えたと思った。
国が赤字のときに医療費を使わせて申し訳ないとも思った。
なんだかいろいろ気が弱くなった。

しばらくして鼻水は止まり、咳が出るようになった。
その咳ももうほとんど出ない。
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